樹脂サッシの劣化や耐久性・価格が気になる人へメリット・デメリット解説
最近の窓枠に用いられるサッシは色やデザインのバリエーションが豊富になり、自由にカスタマイズしやすくなりました。
窓は外気温と室内の気温にさらされる部分でもあるので、デザイン性だけでなく劣化性・耐久性などに性能面も考えてサッシを選ぶことが大切です。
今回は、窓枠によく用いられる樹脂サッシのメリット・デメリット、アルミサッシとの違いまでご紹介してきますので、これから家づくりを進めていく方はぜひご覧ください。
◆こんな方におすすめの記事
⇒樹脂サッシって劣化しやすい?
⇒樹脂サッシにして後悔しない?
◆この記事を読むと分かること
⇒樹脂サッシの特徴
⇒サッシ選びに迷わなくなる
樹脂サッシとは
この記事のもくじ
引用:YKK AP株式会社様公式サイトより
樹脂サッシとは、窓枠部分に「塩化ビニール樹脂」と呼ばれるものを使用しています。フライパンの取っ手や下水道管などに用いられることが多く、私たちの身の回りでも多くのところに活用されています。
塩化ビニール樹脂は耐久性に長けているため、雨や紫外線があたりやすい屋外にも向いている素材です。
直射日光により家具などは焼けやすいですが、樹脂サッシは色の劣化がしにくいと言われているため、日焼けはあったとしてもパッとみた感じでは気にならない程です。
樹脂サッシは、もともとドイツの化学会社が寒さに強く省エネにつながることを目的として開発しました。
断熱性および気密性が高い樹脂サッシは冬の寒さが厳しい北ヨーロッパや北アメリカといった寒冷地を中心に普及しています。
樹脂サッシを用いるメリット
環境問題や省エネルギー対策の思考が高まっている現在では、樹脂サッシを用いると環境面でもいい影響をもたらすとされています。
住宅を建てる際にもおすすめの樹脂サッシですが、具体的にはどのようなメリットがあるのかご紹介するので、これから窓サッシを選ぶ方はぜひ参考にしてみてください。
室内の温度を快適に保ちやすい
樹脂サッシの最大の魅力は気密性と断熱性が高いことです。これまで主流だったアルミ素材のサッシよりも、約2.6倍の断熱性能があると言われています。
冷気や暖気を通しにくく、すきま風が侵入しにくい特徴があるため、外気温に影響さらずに室内の温度を快適に保ちやすいです。
結果的にエアコンや暖房費の使用エネルギーを抑えることができ光熱費の削減 にもつながります。
厳しい地方では樹脂サッシを使用している住宅が多く、北海道では90%前後、東北でも50%前後にのぼっています。
冷気を伝えにくいので、部屋の温度が下がりにくく冬場も快適に過ごすことができます。また熱の出入りもしにくいので、部屋の暖気が逃げにくいのも魅力です。
防音効果が期待できる
樹脂サッシは窓とサッシの気密性(スキマが少ない)が高いため、隙間から漏れる空気や音の量を抑えることにつながり、防音効果も期待ができるのです。
樹脂サッシは割れにくい
樹脂サッシは割れにくい素材であるため劣化しにくい素材で、耐久性は約30~50年と言われています。
日常暮らしている上で、紫外線で割れる・欠けるといったことはほぼありませんが、重量が大きい物がぶつかった場合には割れたり、欠けたりする場合があるので気をつけましょう。
樹脂サッシは結露ができにくい
樹脂サッシは熱の伝わが少ない素材なので、結露が発生しにくいです。
一方、金属製の素材は熱が伝わりやすいため、屋外と屋内の気温に差が生じるため結露が発生してしまいます。
結露をそのまま放置しておくとカビやダニの原因になり、窓枠にカビが発生したり、最悪の場合にはアレルギーを生じてしまいます。
実際に樹脂サッシを採用している住宅に住んでいる方の口コミをチェックしてみると、アルミサッシと比べると結露はしにくいと評価されています。
結露のメカニズム
結露はどうやって発生するか、詳しく知らない方も多いと思いますのでそのメカニズムをご紹介します。
結露が発生する主な原因は「湿度」と「温度差」。室内と外の温度差が大きくなればなるほど室内の湿気を含んだ空気が外気に冷やされ、結露が生じてしまうのです。
住宅を建てる上で、湿度や結露・換気などの観点を考えて施工していくことは重要であり、その際に下記の画像のような「空気線図」というものを使用します。
横軸は「空気の温度」を指し、縦熟は空気に対して水が何g含まれているのかを指している指標です。
夏場は室内と外の温度差が低いのに対し冬場は部屋を暖めようと窓を閉め切るため、すぐに外との温度差が大きくなってしまうので寒い季節になると結露が発生しやすくなるんです。
逆を言えば冬場でも温度差に注意して、室内の湿度を低めに保てれば結露対策ができますが、それでは家を建てた意味がありません。
結露させないために部屋の中の温度を上げれないなんて地獄です。汗
結露しにくい樹脂サッシを採用すれば快適を保ちつつ結露対策ができます。
樹脂サッシ用いるデメリット
テクノロジーの進化により、窓枠サッシも大きく改良されましたが、樹脂サッシにもデメリットがあるので理解を深めておくことが大切です。
白い樹脂サッシは汚れが目立つ
最近の樹脂サッシは、カラーバリエーションが豊富になってきていますが、白や明るいカラーは汚れや黒みが気になってしまうケースがあります。
白はどんなデザインの外壁にも調和しやすいですが、汚れが気になってしまうのが心配な方は黒やグレーなどのシックな色味を選んでおくといいでしょう。
アルミサッシよりも割れやすい
紫外線劣化によるヒビ割れは無いと言われるものの、強い衝撃で割れてしまう場合があります。
重いものがそれなりの勢いで窓枠にぶつかったり、樹脂サッシに対してモノがあたった場合などはヒビ割れや欠けたりするので注意が必要です。
↑外壁施工中にやってしまいました(泣)
外的衝撃にはアルミより弱いです…..身をもって経験しましたトホホ….。
窓の開閉がしにくいと感じる
アルミサッシよりも耐久性が低い樹脂サッシはサッシ自体を厚くする事によって強度を高めることが可能ですが、その分重くなるので扱いも容易ではなく窓の開閉にも重さが出てしまいます。
お年寄りの方や窓の開け閉めを頻繁に行う家庭だと少し不便さを感じてしまうかもしれません。
最近は樹脂サッシの重さを抑えて強度を上げる加工もされるようになりましたので、以前よりは扱いやすいものも増えてきていますよ。
アルミサッシよりも価格が高い
樹脂サッシはアルミサッシよりも価格が高いです。
仕入れ作業に負担がかかってしまう点や素材自体の価格により、アルミサッシよりも2倍前後のコストがかかります。
1フレーム10万円前後は見ておいた方が良いでしょう。
少しでも費用を抑えたいのであれば、樹脂とアルミを複合した種類(ハイブリッドサッシとも言う)を選ぶのも一つの方法です。
ハイブリッドサッシの特徴は、樹脂とアルミの良い所どりをしているのが特徴的です。
アルミサッシとは?
アルミサッシとは、日本で最も普及しているアルミ素材を使って作られている住宅窓サッシです。
加工しやすく、かつ安い費用で生産することができ、高い耐久性があるのが魅力としてあげられます
表面に特殊な加工を施す事によってさらに耐久性が高まりますが、外気温の影響を受けすやすいのがデメリットです。
四季がある日本では、外の気温が暑ければ熱を通して部屋が暑くなりやすく、反対に外が寒いと部屋の中も寒くなりやすいです。
そのため、多くの方が室内の温度を快適にしようとエアコンで温度調整をしますが、エアコンで室内と外気温の温度差が生じると結露を発生してしまいます。
結露が生じると、カビが発生しやすくなりアレルギー体質にもなりやすくなるのです。
お住まいの地域が寒冷地でもなく、とにかく安い費用で抑えたい方に向いている種類ですが、断熱性が低く熱伝導率が高めなので窓の性能で見ると樹脂サッシよりは劣ってしまう部分があるので注意しましょう。
冬場はサッシ自体が冷えてしまいやすく、結露もしやすいことから部屋の温度調整も難しくなるので寒冷地向きではないことを押さえておいてくださいね。
樹脂サッシと樹脂アルミサッシの違いを比較
樹脂サッシとアルミサッシの違いを表で比較してみました!さらに詳しく違いを知りたい方は、以下の文章をぜひ参考にしてみてください。
断熱性能
ポリ塩化ビニル樹脂が素材の「樹脂サッシ」とアルミニウムが素材の「アルミサッシ」、まず熱抵抗値(熱移動のしにくさ)で見ると樹脂サッシの方が高くなります。
結露もアルミサッシは発生しやすいのに対し、樹脂サッシは発生しにくいのが特徴的です。
デザイン性、そしてカラーバリエーションの豊富さも樹脂サッシに軍配が上がります。窓の性能重視で見るとやはり樹脂サッシの方が魅力的です。
強度と耐久性
強度と耐久性で見るとアルミサッシの方が優れています。樹脂サッシの断熱性や遮音性も大切ですが、強度や耐久性が低いと長く愛用するのは難しくなってきます。
一方、アルミサッシは衝撃に強くアルマイト加工を表面に施すことで、さらに強度と耐久性を上げることが可能です。
また、樹脂サッシよりも軽く扱いやすい・加工しやすいのもメリットでしょう。
価格
価格面で見ると、アルミサッシの方がコストパフォーマンスに優れています。
窓サッシの種類はこの2種類以外にもありますが、その中でアルミサッシは最も費用が安いと言われているんです。
窓としての性能が高い樹脂サッシも魅力ですが、コストが高くなってしまうのがデメリットでしょう。
樹脂サッシの価格も最近は流通量も増えてきており、メーカーさんも樹脂サッシ販売に力を入れてきていることもあり、以前よりはお求めやすくなっています。
樹脂サッシの断熱性をアップする方法と注意点
樹脂サッシにさらに断熱性の高い複合ガラス「LOW-Eガラス」や、ガラスとガラスの間の乾燥空気を「アルゴンガス」や「クリプトンガス」に変更する方法も人気があります。
マニアックな方はスペーサーをアルミから樹脂に変える方もいますが、その際の注意点としてはシミュレーションをする事です。
良いとされるものを組み合わせれば単純に良いものが出来る訳ではありません。
それぞれの長所がケンカしてしまうこともあるので、工務店さんに一度お尋ねすると良いと思います。
その際の判断基準は暖冷房エネルギーの大小で決めるのがポイントです。
温度差の影響を受けやすい窓のサッシには、より結露しににくい樹脂サッシを採用するといいでしょう。
少しづつではありますが、樹脂サッシも普及してきており今後はアルミサッシとの価格差もそんなに大きな差は出てこなくなるでしょう。
住まいに合わせて窓やサッシを選ぼう
窓のサッシは室内の温度を快適に保つために大切な設備です。
壁や天井よりも空気中の熱を通しやすく、結露の影響も受けやすい部分でもあり、窓ひとつで生活のしやすさ・快適さも変わります。
窓ガラスやサッシの断熱性能が高くても、建物自体の断熱性や気密性が低いと快適な生活環境つくりには程遠くなってしまうので、窓サッシ選びと同時に今度はぜひ、壁の断熱性能にも考えてみてください。
自分の住んでいる地域や気候、そしてデザインや好みに合わせてサッシの選定をして下さい。また、その説明がしっかりできる工務店さんと家つくりを進めてください。
「耐久性と強度」「コスト」などにこだわるならアルミサッシ、「断熱性の高さ」「結露のしにくさ」などにこだわるなら樹脂サッシと選び分けるのが賢い住宅選びのコツなのではないかと思います。
どちらもサッシ選びにおいて正解だと思います。
どちらのサッシもメリット・デメリットがありますので、それぞれを理解したうえで住まいにあわせてどちらが最適か選んでみてくださいね。
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耐震基準を満たさない昔の家の売買をするとき、新耐震基準に適合していないと言う事で売主様の希望価格がつかない事が良くあります。2020年の住宅の省エネ義務化によりひょっとすると近い将来≪改正省エネ基準不適合建物≫と言う事で、資産価値が落ちてしまう事もあるのかも?
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