全館空調はデメリット?
全館空調の本当
この記事のもくじ
全館空調とは、各部屋ごとのエアコン冷暖房により室内気温を調整する従来のエアコン冷暖房とは異なり、家全体の室内温度をまとめて調節しちゃいます!というものです。
つまり、玄関も、リビングも、お母さまや、お子様、おばあちゃんなどの各部屋に加えて、廊下やお風呂、洗面脱衣所までまんべんなく温度調整するシステムです。
洗面脱衣所やお風呂と聞くと、お年寄りの冬場のヒートショックを思い浮かべませんか?
ヒートショックとは、洗面脱衣所と、お風呂場及びお湯の温度差によって血管が収縮し心臓に負担がかかり心臓発作を起こしてしまう事です。
毎年冬には全国でヒートショックによって亡くなってしまう方が、実は交通事故死亡者数よりも多いのです。
そのヒートショックリスクも大幅に軽減できるシステムが全館空調なんです。
また、冬場はリビングや部屋から出ると“寒いな~”なんて思うことはありませんか?
そういった家の中でも温度差がなくなり、夏でも冬でも家じゅうどこへ行っても温度ムラが無く快適に過ごせるシステムが『全館空調』です。
そして、それは24時間管理され、朝起きてから帰宅し、寝ている間も快適に過ごすことができます。
全館空調は、温度の調整だけでなく機種によっては湿度調子等の様々なメリットがあります。
各メーカーによっても、機能が多少異なってきますので、今回はその全館空調を隅々まで解説していきたいと思います。
それではお付き合いください。
全館空調はハウスメーカーによって違う!?
ハウスメーカーとは、積水ハウスやトヨタホームなど、住宅を専門に建築・販売している会社です。そのハウスメーカー各社によって使用している全館空調のシステムは若干異なります。
今では各ハウスメーカーの“ウリ”のひとつになっていますので、全国規模の大手ハウスメーカーから地元密着の工務店まで、全館空調を積極的に導入されている企業が増えてきています。
ハウスメーカーを選ぶときには全館空調のシステムも考慮する選択肢のひとつとしてみるのも良いかもしれません。
もちろん、全館空調のメーカー(大手ではDENSOなど)をベースとして、ハウスメーカーに意向を伝えて好みの全館空調を入れることも可能かもしれませんので、気になるシステムや採用したい全館空調が見つかったらハウスメーカーや工務店に一声かけてみても良いかもしれません。
全館空調の電気代
冒頭に紹介した通り、全館空調は24時間動いています。働き者です。ネガティブな言い方をすれば『つけっぱなし』です。働き過ぎです。。。働き方改革なんて全く関係ありません。文句ひとつ言わず常に動いています。それを聞くだけで好きになりそうです。
冗談はここまでにして、
つけっぱなし?働きすぎ?って言うと、、、そう気になるのが電気代。
電気代が高くなりそう・・・そんな心の声が聞こえてきますが、実際はそのようなことはありません。
目玉が飛び出るほど電気代が高くなることはありませんが、住んでいる地域や環境、住宅の性能によって若干差が生じてきますので、細かく紹介します。使う全館空調のシステムによっても変わってきますが、一般的な全館空調で比べていきます。
全館空調の電気代
従来のエアコンと、全館空調での比較。
ハウスメーカーでの比較ではよく35坪~40坪前後で比較されますので、そちらのベースに統一したいと思います。
結論から申し上げますと。冬、もしくは夏のエアコン最稼働期でも電気代は個室それぞれにエアコンを設置した場合とほとんど変わりません。
月単位で考えると、数百円~千円前後、全館空調が高くなります。
さらに、エアコン利用というのは制限があり、各個室についているエアコンが1日8時間~10時間程度の稼働での電気代計測に対し、全館空調は廊下やトイレを含む家の中すべての場所で、24時間稼働していたと考ると、その差は歴然ではないでしょうか。
設置場所や稼働時間が異なれば比較定義としては整っていない感じもしますが、一般的な使用頻度、箇所で考えるとこのような結果となります。
全館空調設置
全館空調システム設置に際し、気になるのが、家のスペックによって効きが異なると言う事に注意しなければなりません。家のスペックとは性能の事です。家の性能とは断熱性能と気密性能です。
適切な電気プランや、使用方法にすることによって、従来のエアコンよりも、かなりオトクに暮らすこともできるのです。また、現代の家は壁の断熱性能や、気密性も以前に比べて格段に向上しております。
住宅の高気密高断熱化によって、光熱費の削減はかなり有利に働きますので全館空調と高気密高断熱工事は密接な関係なものだと思います。また、空気の移動を考えた時、吹抜けがある方が家全体の空気の流れを作りやすいので有利と言われていますが、その大前提は高気密高断熱化された住宅で気密性能は(C値1.0以下)欲しい所です。
全館空調のメリット
全館空調に懐疑的な方へ。
全館空調のメリットを紹介していきます。
全館空調メリット1
家中いつでもどこでも快適温度
全館空調の夏は涼しく、冬は暖かい、そんな環境を作ることができるのが全館空調の最大のメリットとなります。
実は、初めてモデルハウスで家に入り、全館空調を体感したとき、『玄関にもエアコンついているんですか?』と素人さながら恥ずかしい質問をしてしまったことがあります。
完全に全館空調のことは頭から抜けていたのですが、それほど快適な空間でした。という方もいるくらいです。
各部屋の温度管理や、寝る前にエアコンつけよう、なんて考えはもういりません。
どんなに寒い朝でも快適に起きることができますし、眠りが深くなったという方もおられます。(個人的な感じ方かもしれませんが)
特に北側に配置されることの多いトイレや洗面室などは冬場に特に冷えが激しい為、暖房で温められているリビングとの温度差は激しく、ヒートショックを引き起こしやすいと言われています。一説にはヒートショックは交通事故者数よりも多いとか。。。
話は少しそれますが、健康寿命って言葉聞いたことありますか?
では、本題に戻ります!
全館空調メリット2
家の空気がきれい
空調は、従来のエアコンを含め基本的には同じ仕組みです。
吸気により、空気を取り入れ、排気により、もともとあった空気を外に出すという仕組みです。
その中で、全館空調は吸気口(または外気を取り入れる部分)に高性能のフィルターを取り付けてあります。
そのフィルターが花粉やPM2.5などの細かいアレルゲン物質等もカットしてくれます。
さらに、24時間稼働となるので、常に換気が行われている状態になり、空気がきれいな状態が続くのです。
全館空調メリット3
エアコン本体や配線が見えてこない
全館空調にすると、壁掛けタイプのエアコンなどが見えてこなくなります。ですので、居住スペースがすっきりとし、家具を置きたいところに好きなように配置することができることになります。
全館空調メリット3
自由な空間設計が可能
暖かい空気は上に、冷たい空気は下に、という自然の摂理の元、足元が寒かったり、高いところが暑かったりと季節によって悩まされることもなくなります。全館空調システムを利用すれば、天井の高い家や、北側にリビングなど間取りの自由度が大幅に上がります。室温を気にしなくてよいので自由な発想で空間を作ることができます。
住みたい家、住みたい空間を自由自在に設計することが全館空調の温度調整により可能になります。
全館空調デメリット
全館空調に肯定的な方へ
どんなに便利なものでも、デメリットは存在します。全館空調のデメリットを理解た上での採用を今一度考えてみて下さい。
全館空調デメリット1
故障
全館空調は家全体を温度調整する仕組みの機械です。この世に壊れない機械なんて存在しません。もしも、故障してしまった場合、家全体を温度調整する機能が停止してしまう、ということです。従来のエアコンであれば、故障したエアコンがカバーする部屋のみ、温度調整ができなくなってしまいましたが、全館空調の場合家全体が、寒いもしくは暑い状態になってしまいますので、バックアップ用の何か?を考えておく必要があります。
全館空調デメリット2
全体的にお金がかかる
電気代に関しては、先ほどご紹介しましたが、従来のエアコンを使用していた時と比較した場合少額とはいえ高くなる可能性があります。月々数百円でも、年間1万円程度高くなる可能性もあります。この1万円を快適を得るための出費と捉えるか、不要な出費と捉えるかで随分と変わります。
また、初期費用に関しても、どの全館空調メーカーでも35~40坪程度の住宅でおおよそ200万円~300万円程度と言われています。
対してエアコンは同条件で、高くても100万円程度です。全館空調は住み始めてからも、定期的なメンテナンス等で金銭的に負担が増えます。電気代で、安くできるように工夫したとしてもトータルでは高くなる可能性が高いです。
と言う事は、、、100万円位で出来る全館空調システムがあればかなり≪お得≫と言えます!!!
その期待を背負っているのが階間エアコンなのです。まだまだこの階間エアコンはメジャーではありませんが、建築業界のトップランナーであり全国各地の工務店がベンチマークする程の実力のオーガニックスタジオ新潟さんが全国発で成功させています。弊社は全国2番目にチャレンジしお客さんともども今年の夏を楽しみにしております。
全館空調デメリット3
冬場は空気が乾燥する
全館空調を採用している=高気密高断熱住宅の場合、外部の冷たい空気が部屋の中に入った瞬間に相対湿度が下がりますので、どうしても冬場は空気が乾燥しやすい状態になります。これは、技術の進歩で住宅の気密性能の向上の副作用と言っても良いでしょう。
現代の技術で、住宅としての加湿効果のあるものはないので、室内に温度湿度計を置くなどして気にかける事は必要かもしれません。その場合は 相対湿度%よりも絶対湿度gで判断すると良いかと思います。6~10g位。
全館空調デメリット4
個々の部屋での温度調整ができない
これは商品にもよりますが、部屋によっての温度の変化を調整することができません。例えば25℃設定であれば、どの部屋も25℃に調整されてしまうことです。旦那様は暑がり、奥様は寒がりと言った場合どちらに室温を合わせるか?ケンカにならないようにしましょう。
我が家は私が合わせます!(勝ち目のないケンカはしない主義です(笑)
このデメリットを克服している全館空調システムもあります。
全館空調メーカー
全館空調のメーカーは。ハウスメーカーで商品として売り出しているものと、エアコンを作っている設備メーカーが作っていいるものがあります。
代表的なメーカーと商品を紹介します。
住宅メーカーとして商品になっている全館空調
・三菱地所ホーム「エアロテック」
・パナソニックホームズ「エアロハス」
・セキスイハイム「快適エアリー」
・三井ホーム「スマートブリーズ」
・積水ハウス「エアシーズン」
・ヤマト住建「YUCACO」
・桧家住宅「Z空調」
(順不同)
大手のハウスメーカー及びCMで流れている中から代表して紹介しました。どこかできいたことあるものばかりではないでしょうか。
大手でもこれだけの数があります。中小・地方のハウスメーカーも入れると更に多くの全館空調システムがあります。それぞれのメーカーによって考え方が違ったりしますので、よく担当者の説明を聞いてみましょう。担当者では【ヨクワカラナイ】場合は、設計者に直接説明を求めるのも良いかもしれません。デメリットを説明しない、してくれない場合などは要注意かもしれません。
設備メーカーとして商品になっている全館空調
・デンソー「PARADIA」
・協立エアテック 「ecocoti」
・ダイキン「デシカホームエア」
こちらのメーカーも全国規模の大手のみを選出してみました。
どのハウスメーカー、設備メーカーから選べばいいか困ってしまいませんか?
全館空調の仕組みと共に各メーカーの商品特徴を紹介していきます。
全館空調のシステム
全館空調とは家全体を同じ温度で~~~ということは何度も紹介しているので。お判りいただけたと思います。
しかし、実際どのようにしているのでしょうか。
基本的な全館空調のシステムとは
商品によって差はありますが、共通している全館空調のシステムを紹介します。
①空気(外気)を取り込む
②フィルター部分で微細な花粉等をカットし、熱交換気ユニットにて熱を取り入れる
③1台のエアコンで最適な温度調整
④各部屋に行っているダクト等(太い(直径15cm~20程度の空気を送る管)を通して各部屋、廊下等に給気
⑤熱交換ユニットに空気が返ってくる
⑥捨てる空気と戻す空気に分かれる
全館空調の基本的な考えかたはこのようになっています。
デメリットを克服した全館空調のシステム。
ここからは、各メーカーの全館空調システムを紹介します。
先ほど紹介しましたデメリットを克服してより住みやすくなっている全館空調のシステムもあります。
・三菱地所ホーム「エアロテック」
デメリットを克服事項:経済的・温度調整
経済的とは、光熱費を比較的に抑えられるということです。
これは、熱交換機システム部分が、ガスを利用し温められることにより、トータル的に節約になります。(東京ガスの場合)また、太陽光発電や、その他三菱地所ホーム独自のシステムを取り入れりことにより、年間の冷暖房費を0円に近づけることもできます。
温度調整は、各部屋で温度調整ができなかった全館空調のデメリットを克服しているという点です。
・パナソニックホームズ「エアロハス」
デメリットを克服事項:経済的・温度調整
エアロハスは、一般的なエアコンを使用した住宅の半分のエネルギーの量で全館空調が使用できます。かなりの省エネ効果があるということです。
また、この商品も各部屋での温度調整が可能な商品になっています。
更には、フィルターも最高性能のものを利用しており、PM0.5mで除去できる能力があります。
・セキスイハイム「快適エアリー」
デメリットを克服事項:経済的・加湿機能
悩みの乾燥を防ぐ効果があります。
また、特徴的なのは温かい空気を建物が吸収し、外へ排出する仕組みで、自然の摂理を利用している為経済的です。
・三井ホーム「スマートブリーズ」
デメリットを克服事項:経済的・加湿機能
加湿・除湿そして、脱臭効果もあるこの商品。季節に関係なく快適な暮らしを実現できます。
また、自社の光熱費シミュレーションでもエネルギー使用効率は半分以下の省エネを実現できています。
・積水ハウス「エアシーズン」
デメリットを克服事項:加湿機能
加湿・除湿機能に優れており、快適に暮らすことができます。
天井の高い空間や広い空間など、希望通りの設計を実現することができます。
・ヤマト住建「YUCACO」
デメリットを克服事項:経済的
エアコンが1台でシンプルなつくりであるため、初期費用も比較的安く、その後のメンテナンスによる費用も最小限に抑えることができます。
基本に忠実なシステムになっています。
・桧家住宅「Z空調」
デメリットを克服事項:経済的・温度調整
この商品の温度調整は、部屋ごとにではなく、フロアごとに温度調整が可能となります。
生活スペースと、寝室スペースや来客スペースと区別して温度調整ができるということになります。
また、自然の仕組みを利用し、冬場の温かい風は下から、夏場のすずしい風は上から給気できるしくみになっており、かゆいところに手が届く商品です。
電気代も、従来のエアコンを使用している条件よりも安くなります。
ハウスメーカーで開発?
一部の例外を除いて、ほとんどのハウスメーカーは各設備メーカーとタッグを組んで商品開発をしています。
桧家住宅ではデンソー、協立エアテック、ダイキンとコラボレーションし、特許を取得しています。
その他のハウスメーカーも、各設備メーカーとの協賛で商品開発しているので、どれも信頼のおけるシステムになっています。
全館空調まとめ
全館空調の特徴はご理解いただけましたでしょうか。一番は、家族が快適に暮らせること、です。
全館空調は現代の住宅に組み込めるいわば新築住宅向けの商品で、中古住宅を改修して取りつけるとかなり費用が発生する事があったり、構造上出来ない事がある事もあります。
弊社のOB様でこんな事をおっしゃった方もおられます。
≪全館空調に一目惚れし、新築一戸建てにしましたが、個人的には大変満足しています。遊びに来た両親にも羨ましがられる程です≫≪フィルターの掃除がまあまあ面倒だね。。。≫初期投資も、少なからず発生する事や、それぞれ個人の考え方により価値は変わると思いますが、気になった方は、お近くの全館空調をやってくれるハウスメーカーや工務店に聞いてみて下さい。体感のオススメは真冬か、真夏です。
金額面でも、デメリットをすべて克服することは難しいので、自分なりの妥協点を見出し、全館空調を検討項目の一つにしてみても十分価値のあるものではないか?と思います。
全館空調のメリット・デメリットはある程度わかった、じゃあ価格は?初期費用が結構かかるんじゃないの?って方はこちらを↓
全館空調のリフォームについて