長期優良住宅はどうなの?にお答えします
長期優良住宅
この記事のもくじ
長期優良住宅って耳にされたことは有りますでしょうか?長期優良住宅なんて聞いたこと無い!という方もひょとしたらいるかもしれません。
今回は、ストック型社会に向けて政府が推進している「長期優良住宅」について。その内容やその優遇措置によるメリット、認定方法や費用と注意点などについて、ご説明していきたいと思います。
長期優良住宅は減税や補助金が出るなど様々ないい話を聞くことがあると思いますが、実際にはどうなのでしょうか。また実際に長期優良住宅の家に住んでいる方というのはどのような方なのでしょうか。
今回は長期優良住宅についてご紹介していきます。
長期優良住宅とは
長期優良住宅とはその名の通り、“長期的に良い状態で済み続けることができる”という概念をもとに制定されている制度です。そしてその基準も細かく決まっています。「基準に当てはまっていない住宅は長期住めないの?」と思われる方も多いですが、長期優良住宅でなくても長期的に住めることは住めます。
しかし、“良い状態”で住めるかどうかというのは別な話です。。。
良い状態という定義には個人差がありますが国が求めている基準となります。
引用:国土交通省HP
マンションや一戸建て住宅や主要構造によっても区分けがされており、認定基準は簡単な物ではありません。
引用:国土交通省HP
厳しいことが書かれているように感じますが、「そんなの当たり前じゃないの?普通の家にはないの?」とも感じてしまいます。
実は『ない』住宅の方が多いかもしれません。。。住宅全てに備わっているわけではありません。一部基準をクリアしているものから全くしていないものもあります。これが建築業界の現状です。
住宅メーカーによりますが、わざわざ長期優良住宅にしてコストアップさせてしまうと売れなくなるという理由から、一切期待できない物件もこの世には存在します。(残念ながら)。。。
長期優良住宅の基準は当然建築基準法よりも厳しい基準が定められています!
長期使用に耐える構造や設備であること
具体的には、長期の使用に耐える構造って何と思いますよね?
劣化対策(等級3)・耐震性(等級2以上など)・更新の容易性(等級3)・省エネルギー性(断熱等級4)など
・居住環境に配慮していること:地域・区域の環境計画・協定等に配慮
・一定以上の住戸面積があること:一戸建て75㎡以上、マンション専有部55㎡以上
・維持保全の期間・方法を定めていること:点検・補修等の計画を策定
注文住宅もメーカーや工務店によっては期待できない事もあるので、工務店や住宅メーカーの選別も慎重になる必要があります。
新築だけでなく、リフォームを対象とした長期優良住宅制度もあります。(あくまで現在建っている住宅は建築基準法をクリアしているという前提のみです。)
平成21(2009)年6月に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」で長期優良住宅の基準が決まり、新築住宅の認定制度が始まりました。平成28(2016)年4月からは増築・改築住宅でも、長期優良住宅の認定制度が始まっています。今年(2019年)は長期優良住宅の認定が始まってから10年ですが、この間に毎年約10万戸が認定されてきました。長期優良住宅に認定されるためには、長期優良住宅の建築・維持保全の計画を作成して所管行政庁に申請し、基準に適合することを認定される、という手順が必要になります。
長期優良住宅のメリット
長期優良住宅のメリットは様々な物があります。建物のメリットとしては、質の良い住宅を作り長く住める事。安い住宅にはそれなりの理由があり、安かろう悪かろうの材料(法基準はクリアしている)を使用していたり、ということが多々あるように思います。
その他のメリットは税金関係
・住宅ローン控除等の減税
・固定資産税の減税
・不動産登記際に発生する登録許可税の減税
・不動産取得税の減税
とにかく各方面の減税、さらに減税です、そして減税です。
このような減税が多い背景には、日本がヨーロッパ各国等に比べ、住宅の建て替え周期が早いことが揚げられます。
地震大国であることも理由としてあるとは思いますが、住宅を長持ちさせようという狙いが国は国をあげての目的となっているのです。今までの日本はスクラップ&ビルド(作っては壊す)をしてきていましたが、今後は地球規模での環境負担を減らすためにも長く住める家を建てる必要が出てきました。
長期優良住宅の認定通知書って何?
長期優良住宅の認定通知書は着工前に提出しなければなりません。提出先は建設予定地の関連行政庁です。とはいえ、施主が全てを用意提出するわけではなく、メーカーや設計士さんがやってくれる事が多いのでタイミングや書類内容の心配をする必要はありませんのでご安心ください。
では、具体的な手続きについて。長期優良住宅の認定を受けるには、工事を着手する前に申請手続きをする必要があります。住宅ローン審査にも影響しますので、住宅ローンを検討する場合は認定手順を確認することが重要です。新築住宅で長期優良住宅に認定されるには、前にも記述の通り、長期優良住宅の建築と維持保全の計画を作成して所管行政庁に申請し、基準に適合する場合に認定を受けるという手順です。長期優良住宅に認定されたら、所管行政庁(居住する市など)より認定通知書が発行されます。
ただし注意点があります。長期優良住宅に求められる性能の等級は、「登録住宅性能評価機関」でないと適合証明ができないことがほとんどです。ですから申請をする前に、認定箇所について「登録住宅性能評価機関」に技術的審査を受けることになります。なかでも「居住環境基準」については、計画地での届出書の写しが必要になる場合があります。必要事項を確認して書類準備の順序に注意し、書類作成や審査のために期間や費用がかかることも覚悟しなくてはなりません。設計者や工事施工者とも、その点充分に確認をしましょう。
長期優良住宅を補助金で建てる?
長期優良住宅は条件を満たせば補助金を受けることが出来る場合があります。国土交通省の「地域型住宅グリーン化事業」の中で<長寿命型>枠として、長期優良住宅に対し補助⾦交付を行うものです。ただし、国⼟交通省より採択されたグループ所属の中⼩住宅⽣産者等だけに補助金が下りる、ということに注意してください。令和元年度の地域型住宅グリーン化事業では、以下の条件全てに合うことが必要です。
・令和元年度に採択されているグループ構成員の中⼩住宅⽣産者等による施工の木造住宅
・住宅省エネルギー技術講習会等の修了者か、令和元年度の所定講習会の受講者が係わる木造住宅
・採択日の日付以降に着工する木造住宅
・各グループが指定・推奨する地域材やその他の要件を満たす木造住宅
補助金は補助対象経費の10分の1以内の額で、かつ中⼩住宅⽣産者等の補助金活用実績数によって上限金額が100万円か110万円かが違います。長期優良住宅でこの補助金を活用する場合、着工するまでの期間もさらに必要になるので、よく確認して進めてください。
補助金は年によって変わってくるので随時確認する必要があります。
長期優良住宅は固定資産税が安い?
住宅は新築すると、長期優良住宅であっても、そうでなくても一定期間固定資産税が1/2減税されます。
固定資産税は、土地だけでなく土地に建つ住宅にもかかる税金です。現在の住宅の固定資産税は、令和2(2020)年3月31日までに新築された住宅に対して、通常の2分の1に3年間減免される措置が決まっていますが、長期優良住宅ではそれが5年間となり、2年間伸長されます。あくまで固定資産税であって都市計画税ではありませんが、半額を2年間継続されることは、地域によっては大きいです。一般住宅とともにこの軽減措置は入居時期の期限付きですでに時期が迫っていますから、スケジュールにご注意を。また土地には、長期優良住宅に関わらず、別に固定資産税の軽減措置がありますので、合わせて確認しておくと良いと思います。
簡単にまとめますと、
一戸建ては3年、マンションは5年と決まっています。
(床面積等の基準をクリアしている物件に対して)
しかし長期優良住宅の場合はさらに2年延長されます。
一戸建ての場合は5年・マンションは7年、固定資産税は1/2となります。
長期優良住宅 減税の効果は?
固定資産税以外の税金も減税対象です。
・長期優良住宅の建設費10%が年末調整時に所得税から減額(最大500万円)
・不動産登記時の登録免許税が減税。保存登記:0.15%→0.1% 移転登記 0.3%→0.2%(戸建て)0.3%→0.1%(マンション)
・不動産取得税の減税。新築したときに発生する税金です。
(固定資産税評価額-1,200万円)× 3%かかる税金が
(固定資産税評価額-1,300万円)× 3%となります。
・住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置など
長期優良住宅 住宅ローン控除
毎年年末調整時に発生する住宅ローン控除にも大きな影響が出てきます。
一般的には借り入れ金額残高の1%が控除対象となっています。
10年間有効な制度ですが、一般の住宅であれば最大400万円まで長期優良住宅であれば500万円とアップします。
一般の建物よりも長期優良住宅の方が建物単価がたかくなるので、かなり有効な制度になっています。
長期優良住宅の申請費用と注意点
長期優良住宅の認定を受けるためには様々な手続きがあると説明してきましたが、では申請や認定のために、費用はどのくらいかかるのでしょうか。申請費用は、審査を受ける住宅の所管行政庁によって審査内容が異なり手数料も異なりますが、2階建ての戸建て住宅で3万~5万円台程度(規模が大きくなると手数料も多少上がる)です。民間の「指定建築確認検査機関」にて建築確認申請と同時に長期優良住宅申請を行うと、申請費用を節約することもできるようです。また、長期優良住宅の申請にあたり必要になる技術確認と同時に、設計住宅性能評価をお願いできる機関もあり、評価項目が被っているためお得となります。
参考に(株)住宅性能評価センターの料金表のページ:
https://www.seinouhyouka.co.jp/longterm_exhouse/charge.html
しかし、長期優良住宅の基準に達するために、当初見積もっていた額以上の建設費用がかかる、ということもあるかもしれません。これは、長期優良住宅をつくる費用として、安かった場合の質(等級等)とをしっかり比べた上で、納得すべき費用ということになります。また、工務店等が長期優良住宅の申請費用として、手数料以外に書類作成費用を請求することは当然あると思います。費用的メリットに比べて書類作成費用が大きく上回る場合や、申請期間が長く希望期日に間に合わない場合、長期優良住宅の認定を選択しないということも考えられます。申請費用や申請期間を確認して決定してください。中には長期優良住宅の仕様にはしたけれど認定を受けなかった、ということもあるようです。着工より前に申請する長期優良住宅認定ですので、工事費のお見積りも長期優良住宅の内容を網羅しているか、同時にしっかり確認しましょう。また竣工後の点検が義務付けられていますが、点検費用などについても有料や無料があるので、施工会社にしっかり確認しておきましょう。
長期優良住宅として必要な建物面積
長期優良住宅は質が良い建物ができればよいというわけではなく、床面積も審査の対象になってきます。
一戸建ての住宅の場合は75㎡以上
マンションの場合は55㎡以上
となっています。
さらに、その地域の行政が別で面積を設定している場合はその面積を満たさなければなりません。基準面積以上で計画しないと長期優良住宅として認定されませんので、まず最初に注意をしてください。また、地域によっては面積の緩和を受けれることもあるようです。
長期優良住宅の割合
実際に長期優良住宅で家を購入している人は全体のおよそ2割程度と言われています。減税や補助金を謳い文句にしていますが、それ以上にかかるコストの方が高い事もあまり普及していない理由なのかもしれません。
まとめ
今回は、長期優良住宅についてご説明しました。今後のストック社会にむけて基準となる「長期優良住宅」は、普及するために現在優遇措置もあり、居住者にもメリットが多くあると言えます。ただ、認定申請には手間と期間がかかります。優遇措置には期限が迫っているものもあります。ぜひこの記事を参考にし、検討してみて下さい。
ここまで説明するとデメリットも自ずと見えてきます。
・長期優良住宅にする為のコストはかかる
(初めの建築のグレード?仕様?にもよりますが)
・申請期間を含めると建設日数が一般住宅よりかかる。
しかし長期優良住宅は『100年住宅』とも考えられ、【安心して生活していくことができる】家族への安全はプライスレスな住宅となります。
ただ単に、質が良い、高いというだけでなく、地震国家であり、短命な住宅が多い中、自分を含め家族を安心させる事ができるというポイントはとても良い事ではないでしょうか。
住宅の建設を考える時は見た目やデザインを先行してしまいがちですが、建物の構造への安心や・性能にも目を向ける事も大切です。デザインは良いけど構造が心配、性能はいいけどデザインがダサいというモノ。。。建物に限らずバランスが大切だと思います。そのバランスのとり方を工務店の担当者や設計士さんとしっかりと打合せを通じて共有していくことが大切だと思います。
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