ハウスメーカー•工務店•設計事務所の違いと選び方〜価格差•メリットデメリット〜
家を建てるにあたりどこに建築を依頼するか、悩ましいですよね。
初めての大イベントですから『失敗や後悔は絶対にしなくない!!』と考えるとどうやって決めれば良いか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。注文住宅の建築を依頼する場合、TVCMなどでも良く見かけるようなハウスメーカーを想起される事も多いと思いますが、他にも工務店や設計事務所でも依頼できます。
それぞれ特徴も違い、建てられる家や価格にも大きな違いがあるので、ここでは
- 工務店•ハウスメーカー•設計事務所の特徴
- 工務店•ハウスメーカー•設計事務所の違い
- 工務店•ハウスメーカー•設計事務所の価格差
- 後悔しないための工務店の選び方
といったポイントを解説しながら、みなさんが希望する家を建てるためにどのように考えていけば良いか、どのように決めれば後悔のない家づくりができるか解説していきたいと思います!
ハウスメーカー•工務店•設計事務所の特徴
この記事のもくじ
どこに頼むべきか検討するためにも、まずはそれぞれの特徴的な部分をピックアップしてみました。どんな家に住みたいのか、どういった家づくりがしたいのか考えつつ見てください。
ハウスメーカーの特徴
ハウスメーカーという言葉に明確な定義はありませんが、一般的にハウスメーカーと認識されるのは、ある程度規模の大きな広い範囲で展開している施工会社です。効率的に品質を担保しながら利益をあげるために、『工法•建材•サイズといった基本的な仕様をあらかじめ認可を受けておき、その範囲内で施工•設計する』ということをしています。
その為、ある程度決められた規格にそって家づくりがすすめられていくことになりますが、自由設計を取り入れたいとなるとその分コストがかさむ、場合によっては対応できないということもあります。
工務店の特徴
工務店には昔ながらの棟梁が設計から施工を担当する場合もあれば、デザインにこだわる建築士が在籍し設計•施工を行うケースや、施工専門(設計は外部委託)、大手ハウスメーカーの下請けとなって動くケースなど様々です。注文住宅を建てたい施主さんが門を叩くことになるのはこのうち、デザインや性能・耐震性にもこだわりながら施工まで担当してくれる、というところでしょう。
ハウスメーカーと比べて規模は小さくなりますが、地域密着で施主さんの希望を叶えつつある程度価格を抑えた家づくりをしやすいということで選ばれることが多いのも工務店。どの工務店でも同じということはないので、どのような家にしたいのか考えた上でしっかり目的にあった工務店を選ぶことも重要と覚えておきましょう。
設計事務所の特徴
設計事務所の最大の特徴は多くの方が想像されるように『デザインに強いこだわりがりある家づくりをしている』という点。もう一点、『施工とは別でデザイン•設計を行い、その通りに作られているかを監督する』というもの。
工務店もハウスメーカーも、設計から施工まで担当するため設計事務所とはそもそものスタンスが違います。
ハウスメーカー•工務店•設計事務所の違い
それぞれの特徴について把握していただいたところで、大きな違いになる部分について取り上げてみます。
もっとも違うのは『規模』です。規模が違うということで差が出やすいのが、
- 工期
- 価格(人件費•広告費•物流費など)
- 価格差
- アフターフォロー
といった部分です。
ただしこれは、規模が大きい方がこれらのポイントで優れているというわけではありません。このあとそれぞれ詳しく解説していきますが、ハウスメーカーでも工務店でも、基本的には施工現場に近いエリアの大工さんが担当することがほとんど。
施工に関しては正直どちらも、現場に出る大工さんの腕次第になるためどこも大きな違いはないです。ただ、現場を監督する立場の人材や設計に関してはきちんとした技量があるか、といった部分は大切ですから、後で解説している選び方のポイントを参考にしてください。
とした上でじゃあどこが違うんだ?というところを簡単にまとめて説明するとこのようになるかな?と思います。
『ハウスメーカーは独自の建材(当然品質は確か)などを使っていることがあり、独自の企画住宅があり工期が短くすむこともある。細かい部分までプランを出すのは辛いけど、希望を取り入れつつ良い家にしたいな〜。予算もそこまでシビアに考えてないし、という人におすすめ』
『工務店も品質の確かなメーカーの建材や、自身がこれは良い!と思った材料などを使うので安心。ハウスメーカーと比べるとコスパも良く自由度の高い家づくりがしやすい。きちんと選べばアフターフォローも含めて安心できる。色々こだわりたい部分があり細かく指定したい人にもおすすめ。』
『建築設計事務所は特に意匠に強いこだわりがあり、人とは絶対違う家にしたい!!という思いが強い方におすすめ。ある程度希望を伝えながら、デザインにこだわった建築プランを出してもらうことができる。その分デザイン料や建材へのこだわりなどでコストは嵩みがち。』
続いて気になる価格差についても言及してみますのでお目通しを。
ハウスメーカーと工務店の価格差
ハウスメーカーと工務店の価格差は、正直なところ確実に『こっちが高い』と断言できるものではありません。
ですが傾向として、同じようなプランで比較した時『工務店の方が安い』ということが多いです。注意しておきたいのはここでいう価格差というのは単純な坪単価で比較、見積もり価格だけで決めるのは避けるべき、ということ。
なぜかというと、同じ間取りやプランでも細かな内容や価格に含まれるアフターサービスなどの内容が違うことがあるからです。家は建てたら終わりではないです。
木造建築は木材が落ち着くまでに数年かかるため、定期的な確認やメンテナンスは必須ということも考えると、アフターフォローがどこまで含まれた価格なのかということを見る必要性も理解していただけるのではないでしょうか。
また同じ間取りでも価格内に含まれる建材のグレード(断熱性能や耐震性なども含む)に違いがあることもあるので、総合的に判断することが大切です。
ハウスメーカー•工務店•設計事務所の選び方
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まずはどんな家にしたいのかを考える
どんな家にしたいのかを考えるときには、今の家族構成だけでなく将来的なことも踏まえて考えるのが良いです。
極端な例では、デザインにとにかく強いこだわりがあってその通りの家にしたけど、冷暖房効率が悪かったり、生活動線が悪くストレスになったり、お子さんが大きくなった使い勝手が悪くなるなんていうことも!
どんな住まい方をしたいのか、実際に住み始めたときの日常を思い浮かべながらプランを考えていくと良いですね。
またこの段階で詳細な間取りまで決める必要はなく、どんな部屋がどれだけ必要か、生活する上で譲れない設備や間取りに関する希望は何かといったある程度ラフなプランでも大丈夫です。
この後見積もりをとる段階である程度詰めていき、プロ視点も含めた最適なプランを練り上げていくことかできます。
安心の家づくりには実績チェックを
ホームページにも過去の施工例が掲載されていますが、可能なら実物も含めてチェックしましょう。建築中の現場見学やできあがった家の見学会への参加も良いです!
過去の建築をチェックしてどんな家を作っているのか見ながら傾向を把握する事もできますし、実物に触れて気になることを確認したり、『こういうのはうちにはいらないな』とか『こういうのありだな』というポイントを発見することもありますよ。
無理のない予算を決めておく
予算を決める場合には、金融機関に相談にいくと『ここまでならローンなら組めますよ』と言われることもあり、上限までローンを組んでしまう方もいるそうですが…あくまで無理のない返済額から決めるようにすると安心です。
特に見落としがちなのは、ローンを組むにあたり諸費用も含めてローンが組めるところ、組めないところがあり、組める場合でも諸費用を含めてしまうと審査がより厳しくなるケースも。月々の支払いに関しては、金利にも影響しますが収入に対しての割合が30%前後が良いと言われているので参考までに。
希望のプラン•予算でいくつか見積もりをとる?
ある程度『こんな家がいい』という希望のプランがでたら、次は見積もりをとりましょう。その時のポイントとして、見積もりは一社ではなく複数取ること!!
見積もりを取る時に みたいのは、
- それぞれの会社の対応
- 断熱性能や耐久性などの性能の違い
- 価格差
- アフターフォロー
など、それぞれの工務店•ハウスメーカーによってどんな建材を使うのか、施主や家に対する思いや対応の違い、何かあったときの対応はどうか、といったことを含めて価格を比較すること。同じようにみえるプランでも、細かくチェックすると使っているサッシや窓、断熱材などは違います。
希望をできるだけ叶えよう、その上でプロとしての視点をもって的確なアドバイスをしてくれるかどうか、というのも大切です!(施主さんはこう希望しているけど、この間取りは耐震性に問題がある、とか生活動線悪くなるけど平気かな?とかプロだからこそ指摘できるポイントもあります)こういったことを比較して納得の家づくりをするためにも、価格の面でも複数見積もりを取るのがおすすめです。
これについては、賛否両論あります。
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工務店•ハウスメーカーそれぞれのメリットデメリットについても考えておく
ハウスメーカーを選んでも工務店を選んでもそれぞれに良し悪しがあるからこそ、みなさん悩まれるのではないでしょうか?
それぞれのメリット•デメリットについて理解した上で、それがご自身にとってどう働くかを判断することも大切です。
それぞれののメリットデメリット
ハウスメーカーは工務店と比べ規模が大きく、経営も安定しているため、先々のメンテナンス時にも安心感が得られます。対して工務店は、ハウスメーカーより規模が小さいものの地域密着で経営しているため、何かあった時にすぐに対応してもらうこともできます。
規模が大きい分規格型住宅などを手がけるハウスメーカーは工期が短く済むこと、モデルハウスで実際の仕上がりがわかる点はメリットになりますが、工務店では特定の規格がない分、こだわりを追求したい施主の希望にも比較的柔軟に対応してくれることも多くあります。
もちろんハウスメーカーでも規格ものではない家を建てることはできますし、規格のものから特定の部分をこだわりのものに変更するといったことも可能ですが、その分コストはあがります。規模が大きいからこそ安心感があるハウスメーカーでは、広告費なども嵩むためその分建築価格が工務店より高くなることも懸念材料。またもし今チェックしている土地が防火地域である場合、木造よりも鉄骨•鉄筋で建てた方が安くなるケースもあります。(防火地域でも木造は建てられますがコストは他のエリアより嵩みます)地震対策としてどうしても鉄骨•鉄筋で建てたい!!という方もいるかも知れませんね。
そのような時には木造しか請け負っていない工務店では依頼が出来ず、結果的にハウスメーカーに依頼しなくてはならないようなこともあるかも知れませんが…。
総合して考えていくと…予算もある程度限りがあることを考えるとコスパ的•自由度的に工務店が有力な選択肢となる場合が多いのではないでしょうか。
とはいえ!
これから長く住むことになる家を今まで聞いたこともない工務店で依頼するのは勇気が必要…という事もあるのでは?!そこで続けて、安心して良い家作りを依頼できる工務店を見分けるためのポイントを伝授しますのでチェックしてみてください。
安心できる工務店を見極める4つのポイント
安心してしっかり施工してくれる工務店かどうか、見極めずに依頼できませんよね。なの知れたハウスメーカーと違い、不安に感じる方も多いかも知れません。ですが、以下の4つのポイントをチェックすることで依頼するに値する工務店か判断できるので目を通してみて下さい。
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ホームページをしっかりチェック
今の時代ならではでもありますが、きちんとしたホームページがしっかりあるかチェックしてみましょう。
全体をチェックして不安に感じるようなことはないか見てください。ただホームページがある、というだけでなく定期的な更新があるかどうかも見ると、作りっぱなしでなく安心も増します!
腕の確かな有資格者はいるか
一級施工管理技士•一級建築士•二級建築士といった資格保有者がどのくらい在籍しているかも見ておくと良いです。正直なところハウスメーカーでも工務店でも、施主さんの事を思えば行動に違いがあるものではありません。
工務店はハウスメーカーより劣る、ということはないのです。規模が小さいからこそきちんとした施工•設計ができる技量のある人材がいるかどうか、というのは見逃せなくなります。
アフターフォローは安心できるか
加入するためには経営状態を含めた厳しい審査がある『住宅完成保証制度』に加入しているかどうかも要チェックです。加盟している場合には、もし倒産したとしてもメンテナンスを引き継ぐ建築業者•工務店に対して生じた追加費用•前払い金は保証があるため余計な出費を避けられます。完成保証に入っているからと言ってすべての費用が出る訳ではありませんが、完成保証に加入できる工務店か否かが判断の基準かな?と思います。
まとめ
ここまで読んでいただいた皆さんには、工務店•ハウスメーカーや設計事務所とは何か、それぞれの特徴や違いについてもご理解いただけたはず。
その上で皆さんが希望通りの良い家作りをすすめていくためには、どんなポイントで依頼先を監督すると良いか、良いところかどうか見極めるためのコツもお伝えしました。
こちらで紹介させていただいた情報を皆さんの素敵な家づくりに活かしていただければ幸いです。