断熱等級5が新設されます
◆今回はこんな方の為に書いています。
⇒断熱等級って何??って方へ
⇒断熱はそこそこで良いと思っている方へ
◆今回の記事を読むとこんな事がわかります。
⇒断熱の新基準についての事
⇒断熱って馬鹿にできないという事
『家を建てたい!』という方にとっても『建売住宅の購入を検討中』という方にとっても、住宅の断熱性能がどうなっているのか気になる問題ではないでしょうか?
とはいえ、断熱性能?気密性能?色々な基準がありますが、どの基準がどのくらいあれば良いのか…わかりづらいという声も多く聞かれますよね。
2021年12月1日、そんなちょっと判断が難しいと感じている方の多い断熱等級と一次エネルギー消費量等級に、更に上位となる基準が新設されることが決まりました。
余計わからんわ!
とーさん
混乱させる気か!
かーさん
そこで今回は、快適に、そしてこれからの脱炭素社会を実現するのにも重要と言われている断熱性能についてメインに取り上げ、どのくらいの基準が必要なのか、また既存の基準の最高位であった「断熱等級4」はどんなものなのか解説していきたいと思います。
これから新築、建売購入を検討中の方の判断基準にしていただければと思います。
断熱等級5が新設されました
2021年12月1日国土交通省と消費者庁は、表示基準の断熱等級5の新設・一次エネルギー消費量等級6の新設を発表しました。
施行日は2022年4月1日となっています。
もうすぐじゃん!
とーさん
そんな早くて対応できるの?
かーさん
ZEH基準と同等の水準の省エネ性能に相当する上位等級を設定することが目的で、脱炭素社会実現に向けた第一歩と言えるでしょう。これは建築業界の断熱性能の底上げとこれから建築する方の為にもなる施作だと思います。
一方で、技術不足の建築会社をふるいにかけるな!と言う声もあるそうです。
しかしその様な声に対しても今回ばかりは、、、って感じですかね?
断熱性能等級は地域区分ごとに基準が定められていますが、「等級5」は”地域区分6”の場合”外皮平均熱貫流率(UA値)0.6”、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)2.8が基準となるもの。
また一次エネルギー消費量等級の「等級6」とは一次エネルギー消費量の割合が0.8以下となっています。ちなみに”愛知県の地域区分は6”で、外皮平均熱貫流率(UA値)0.60以下を満たせば等級6となります。
ZEHってなに?
ZEH(ゼッチ)とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を略した呼称で、住居の断熱性能・省エネ性能を向上し、さらに生活するのに必要なエネルギーを太陽光発電などで創出しながら、 年間の一次消費エネルギー量(空調・給湯・照明・換気)を概ね0以下にする住宅 のことなんです。
ようは…『とっても省エネな家!』ということですが、ここには落とし穴?抜け道?が、、、
簡単に言うと、どれだけ熱が漏れる様な家(Ua値が悪い建物)でもそれ以上に太陽光を搭載すれば差し引きゼロになるのでZEH(ゼッチ)・(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)となります。
新設される断熱等級はまさにこのZEH住宅に相当する基準、となっているので今までの『断熱性能の高い家』とは基準が大きく変わるんですと言いたいところですが、この基準をクリアするのはとても簡単です。
断熱工事ってどういうもの?
*シート貼り前写真*
ここでちょっと余談です。そもそも断熱性能を高めるための工事ってどんなものなの?というお話し。
性能向上の為の工事そのものは、断熱材を入れて、家を包み、樹脂窓を採用したり、ということでなんとなくの理屈は成り立ちます。これ自体はそれほど難しい技術がなくてもできること。
ですが『断熱工事をきちんと実施する』ためには施工技術だけでなく、気密性能を高めるための知識や技術が必要になり、気流をイメージする・ノウハウも必要なんです。実はここが肝なのです。そのノウハウを知りたい方は是非こちらにご参加ください
他にも換気をきちんと行えるように考えながら、必要な設備や機材を取り入れるための知識と技術、後々のメンテナンス性を確保できるかどうかも重要。
ようは…『経験による裏付け』と『経験を裏付けするだけの施工実績を蓄積する努力』が必要ということですね。
なんとなーく、「だって他の家だってこんな感じで作ってるでしょ」と右にならえ、の状態では良いものは作れないんじゃないかな?
これから先の時代は、まさにそうした「企業努力を継続して、更に上を目指しながら奮闘していけるかどうか」が試されるのだろうと考えています。
そもそも断熱等級って?
断熱等級は、 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」 通称「品確法」で規定された省エネに関する基準によって判定されます。
地域区分、外皮平均熱貫流率(UA値)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)をみて判断します。(新築する際はこれらを算出するためにも、断熱材はこれ、断熱材の厚さはこれくらい、窓はこの建材以上のグレード等細かい数字を見ながらですが)
ちなみに今施行されている最高基準の『断熱等級4』は平成28年に新設された省エネ基準です。等級3が平成4年、等級2となるとなんと昭和55年にまで遡る…『おじいちゃんの家に行くと冬がすごい寒い』という理由も想像していただけるのではないでしょうか?
ちなみにですが今最高位である等級4、『これだけあれば十分なんでしょ?』と思ってしまうかもしれませんが…そうではないんです。ここだけの話かなり物足りないんです。
むしろ今後の地球環境の事だけでなく、より快適に省エネ、低コストな生活を実現するための最低基準であるということは国も認めている事実なんです。
詳しくは後程、「断熱等級4はどういうもの?」で取り上げさせていただきます。
そうそう…冒頭でこんなことを書きました。
断熱等性能等級の「等級5」は地域区分6の地域を例に上げると、外皮平均熱貫流率(UA値)0.6、冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)2.8となるというお話。
UA値ってなんの値?ということも簡単にお伝えしておきますね。
断熱等級4はどういうもの?
断熱等級4は新設される5を除けば最上位なので、高い基準なのだろうと思ってしまうかもしれませんが実はそうではありません。
これは建築業界のみではなく、やっと国も「【今の時代だけでなく先を見据えた場合も含めて】最低基準とすべき」という認識です。
ちなみに断熱等級4は平成25年に新設され、長期優良住宅と認められるための条件にもなっていますが、これこそが『断熱等級は4あれば十分』という誤解を招いているのかもしれませんね。。。
また等級4となるためには数値だけでなく「開口部には複層ガラスを使用しなければいけない」といったような条件もあります。と言うかシングルガラスでは無理じゃない?ということもあり、『地球温暖化を食い止める、脱炭素社会に向けての基準として全然足りない!!』ということで等級5が”ZEHと同等の水準”で新しい基準として新設されたということ。
今後は等級6,7というのも新設され、『断熱等級5以上じゃないとダメじゃない!?』という時代になっていくのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?
「断熱等級なんて4もあれば十分なのかと思っていた!」「長期優良住宅の基準だから大丈夫」と思っていた方も多いのではないでしょうか。
そうではなく、これから未来に向けて地球を守るという壮大な目的のためにも(ちょっと言い過ぎかな?)自分達の子供、その先の孫世代にも。そしてより快適で省エネでオトクに生活していくためにも、断熱等級は4で十分というのは少々寂しいと言う事に気付いていただけたでしょうか。
家づくりに携わる者として、これまでも何度も申し上げてきていますが、「より良い家を届けたい!」その想いを胸に、今回新設された断熱等級5の水準をクリアすることだけを目的とせず、日々精進しながら邁進していきたいと考えます!