注文住宅における住宅ローンの流れを解説!つなぎ融資や分割融資について理解しておこう
住宅の購入を考えているほとんどの方が住宅ローンを利用されるでしょう。
中でも、注文住宅の購入で住宅ローンを利用される際は、工期が長くなることもあり、全体の流れを知っておくことが大切です。
本記事では、注文住宅における住宅ローンの流れやつなぎ融資、分割融資についてなどお伝えしていきます。
◆今回はこんな方の為に書いています。
⇒注文住宅の購入を考えている方へ
⇒住宅ローンの流れを知りたい方へ
◆今回の記事を読むとこんな事がわかります。
⇒つなぎ融資の流れと計算方法が分かります
⇒住宅ローンの金利タイプとどの金利タイプを選べばよいか分かります
注文住宅における住宅ローンの流れ
最初に注文住宅における住宅ローンの流れを見てみましょう。
具体的には、以下のような流れで手続きを進めていきます。
- 土地探し~土地確定~プラン決め
- 仮審査
- 請負契約・売買契約
- 本審査
- 土地決済
- 着工~完成
- 建物決済
土地探し~土地確定~プラン決め
まずは土地と、土地の上に乗せる建物の間取り(プラン)を決めていきます。
住宅ローンは土地建物の担保評価も審査対象になるため、基本的には土地と建物が決まっている必要があるからです。
間取りについては後で変更しても問題ありませんが、土地を変える場合は再審査となってしまうことが多いでしょう。
仮審査
住宅ローンの審査では最初に仮審査(事前審査)を受けることが一般的です。
必要な書類など金融機関によって異なりますが、仮審査時にはそこまで多くの書類を提出しなくてよいことが多いでしょう。
ただし、仮審査時に申告した年収や借入状況などの内容と、実際の状況が異なる場合には仮審査で承認を得られても本審査で落ちてしまいます。
仮審査の段階からできるだけ正確な内容を申告しておくことが大切だといえます。
請負契約・売買契約
審査承認後、建物の請負契約と土地の売買契約を結びます。
なお、住宅ローンの本審査は土地と建物の契約後でないと手続きできないのが一般的です。
このため、仮に土地と建物の契約後に住宅ローンの本審査で否決になってしまっても、支払った手付金が返ってくるよう、住宅ローン特約を設定するようにしましょう。
住宅ローン特約とは、土地や建物の契約後に、万が一ローンが否決になってしまった場合には、契約を白紙状態に戻して、手付金などの返還を受けられるというものです。
本審査
土地と建物の契約後は住宅ローンの本審査です。
本審査時には所得証明書や他の借り入れに関する情報などさまざまな書類を提出しなければなりません。
書類が不足したり、不十分だったりすると審査が長引く可能性があるため、事前にしっかり用意しておくようにしましょう。
土地決済
住宅ローンの本審査で承認を得られたら、先に土地の決済手続きに進めます。
土地の上に建物を建てるには、土地を自分で所有している必要があるからです。
しかし、住宅ローンは建物が完成した後に、土地と建物に抵当権を設定して融資を受けるものです。
このため、土地決済時にはつなぎ融資という制度を利用、若しくは土地の分だけ融資実行(借入実施)するのが一般的です。
つなぎ融資の具体的な仕組みについては後ほど詳しく解説します。
着工~完成
土地決済後は住宅の着工に進みます。
なお、住宅着工時には、物件価格の3割程度を着工金として支払うのが一般的です。
また、着工後、1~2ヶ月程度後には中間金として、さらに3割程度を支払います。
これらの費用についても、土地決済費用と同じくつなぎ融資費用若しくは建物分の融資実行(借入実施)をし、その中から建築会社に支払いを行います。
建物決済
住宅の工事が完了したら、土地と建物に抵当権を設定して、住宅ローンで決済します。
なお、このとき、先に借りた土地の決済費用と着工金、中間金を住宅ローンで完済する形となります。
以上が、注文住宅における住宅ローンの流れです。
つなぎ融資について押さえておこう
ここでは、改めてつなぎ融資について仕組みや利息について見ていきましょう。
つなぎ融資とは
つなぎ融資とは、着工から建物の完成までの間をつなぐための融資です。
先述の通り、住宅ローンは建物が完成してからしか融資を受けられません。
一方で、建物を建てるには土地の所有権を自分に移す必要があります。
土地の決済費用は、自己資金から支払ってもよいのですが、土地費用全額を自己資金として用意できる方はそう多くないでしょう。
また、注文住宅は着工時に着工金として建物価格の3割程度、上棟前後に中間金として3割程度支払う必要がありますが、これらと合わせると数千万円は用意しなければならないケースも多いものです。
つなぎ融資は、こうした費用を住宅ローン決済までに借りるために利用されます。
期間が長くなるほど利息が高くなる
つなぎ融資は期間が長くなるほど高くなってしまう点に注意しなければなりません。
つなぎ融資は、土地の決済や着工金、中間期のタイミングで融資を受けて、数か月後、建物が完成して住宅ローンの決済をするタイミングで完済します。
お金を借りている間は、1日1日、利息が発生します。
このため、雨が降るなどして工事が遅れてしまった場合には、それだけ利息が高くなってしまうのです。
つなぎ融資利息シミュレーション
ここでは、以下のような条件でつなぎ融資利息のシミュレーションをしてみましょう。
- 金利:3%
- 土地着手金:2,000万円/100日間
- 着工金:600万円(建物価格2,000万円×30%)/100日間
- 中間金:600万円(建物価格2,000万円×30%)/60日間
以下、計算します。
- 土地着手金:2,000万円×3%×100日間/365日=約16.4万円
- 着工金:600万円×3%×100日間/365日=約4.9万円
- 中間金:600万円×3%×60日間/365日=約3.0万円
- 合計:約24.3万円
つなぎ融資の金利は利用する金融機関によって異なります。
また、先述の通り、工期が長引くとそれだけ支払う利息も多くなってしまう点に注意が必要です。
つなぎ融資については以下記事でも解説しているので、参考になさってください。
住宅ローンを一本化する「分割融資」という方法もある
ここまで、注文住宅で家を建てる際につなぎ融資を利用する方法について解説していきました。
一方、つなぎ融資ではなく分割融資という方法を取ることもできます。
ここでは、分割融資について見ていきましょう。
分割融資とは
分割融資とは、住宅ローンを複数に分けて融資することで、建物の完成前でも土地費用や着工金、中間金などを受け取れる融資のことです。
以下、分割融資のメリット・デメリットを見ていきましょう。
分割融資のメリット
分割融資のメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
- 住宅ローン金利で利用できる
- 住宅ローン控除を利用できる
まず、大きなメリットとして挙げられるのが、住宅ローンの金利で融資を受けられるという点です。
つなぎ融資は、住宅ローンとは別の融資を組むもので、短期間での融資となります。
このように、短期間の融資は通常、金利が高くなるものです。
2022年現在では、住宅ローン金利は1%程度で利用できるものが多い一方、つなぎ融資の金利は3%程度かかるものがあります。
分割融資であれば住宅ローン金利の1%程度で利用できると考えるとかなりお得だといえるでしょう。
また、分割融資は住宅ローンですから、条件を満たせば住宅ローン控除の適用を受けられる点もメリットとなります。
分割融資のデメリット
一方、分割融資のデメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
- 手数料や登記費用が割高になる
- 取扱いのある金融機関が少ない
分割融資は土地着手金、着工金、中間金、建物完成時と複数回にわたって融資を受ける必要があるため、都度、手数料が発生するといった可能性があります。
金融機関によっては都度契約書を結ぶケースがあり、その場合は印紙などの費用も高くなってしまうでしょう。
また、つなぎ融資であれば、土地決済時に土地に抵当権を設定せず、完成時に土地と建物にそれぞれ抵当権を設定しますが、分割融資とは土地決済の時点で土地に抵当権を設定する必要があるといった点にも気を付けなければなりません。
もう一つのデメリットとして、分割融資はそもそも取扱いのある金融機関が少なくなっています。
分割融資の利用を検討しているのであれば、まずは金融機関に相談することが大切だといえます。
なお、分割融資については以下記事でも詳しく解説しています。
変動金利と固定金利どちらがいい?
注文住宅の住宅ローンを選ぶにあたり、どの金利を選べばよいか迷っている方もいらっしゃるでしょう。
住宅ローンの金利タイプについて見ていきたいと思います。
住宅ローンの3つの金利タイプ
住宅ローンには以下3つの金利タイプがあります。
- 変動金利
- 固定期間選択型金利
- 全期間固定金利
変動金利はその名の通り変動する金利で、固定期間選択型金利は、最初に10年など固定期間を選択して、その期間中は金利が固定されるという金利タイプです。
一方、全期間固定金利は借入期間中ずっと同じ金利で利用できます。
どの金利タイプがよいかは考え方やライフスタイルにより異なる
3つの金利タイプのどの金利がよいかについては、それぞれにメリット・デメリットがあるため一概にはいえません。
安心して返済しきたいのか、リスクを負ってでもできるだけ返済額を抑えたいのかなど、考え方やライフスタイルによって異なるでしょう。
それぞれの金利タイプについては以下記事で詳しく解説しているので、参考になさってください。
2022年以降の金利はどうなる?
金利タイプを選ぶにあたって、今後の金利がどうなるか気になっている方もいらっしゃるでしょう。
2022年現在の状況をみてみると、アメリカをはじめ各国が利上げをしている中、日本は利上げをしておらず、金融緩和継続を明言しています。
これは日本銀行が日本の国債を大量に保有していることが原因であり、今後も金融緩和政策は継続されることが見込まれています。
ただし、政策金利が据え置かれても市中金利が上がることはあるため、十分注意しなければならないでしょう。
なお、全期間固定金利のフラット35の金利を見てみると、2019年9月には1.11%だった金利が、2022年9月には1.48%になるなど、すでに上昇しています。
住宅ローンの金利動向などについては以下記事で詳しく解説しています。
まとめ
注文住宅における金利についてお伝えしました。
注文住宅は、土地を決済してから建物を建てる必要があることから、つなぎ融資や分割融資を利用しなければなりません。
本記事の内容を参考に、家づくり全体の流れを押さえるようにしましょう。