一次エネルギー消費量等級とは|等級6・基準・調べ方・受けられる補助金
一次エネルギー消費量がどのくらいの家か、その家の省エネ性能を等級として数値化した、一次エネルギー消費量等級について解説します。
家がどのくらい省エネ性能に優れているかを明示的にするのがBELS。
BELSはその住宅の省エネ性能の程度を素人でもパッと見てわかるように、『星の数』で表しています。ではその星の数は何が基準になっているのか、というとこれからお伝えすることに関連する『一次エネルギー消費量(BEI)』です。
「一般消費者には関係ない話じゃない?」と感じた方もいらっしゃるでしょう。確かに専門的な内容にちょっと踏み込んだ内容です。
知らなくても問題はありませんが、知っておくとこんなメリットがあります。
- 無駄な生活コストのかからない家を見つけられる
- 省エネ基準が当然となっても資産価値が下がらない家を購入できる
「大きな買い物だから、しっかり理解して家を建てたい(買いたい)!」
「ちょっとだけ住宅業界の専門的な話も覗いてみたい」
という方は是非、わかりやすく解説していきますので、お付き合いくださいね。
⇒一次エネルギー消費量等級がわからない
⇒家を買うために必要な情報をしっかり理解したい
◆この記事を読むと分かること
⇒一次エネルギー消費量等級について理解できる
⇒専門的な内容をドヤ顔で話せるようになる
一次エネルギー消費量等級とは|基準値・等級ごとの違い
この記事のもくじ
BEIは一次エネルギー消費量を、一般的な性能の住宅と比較したときの割合です。等級ごとのBEIの基準値、BELSで★マークがいくつ付くのか表にまとめたのでご覧ください。
等級 | BEI基準値 | BELSの星の数 |
---|---|---|
等級6 | 0.8以下 | ★★★★★ |
等級5 | 0.9以下 | 0.85以下なら★★★★ 0.86~0.9なら★★★ |
等級4 | 1.0以下 | ★★ |
等級3 | 1.1以下 | ★ |
参考情報:住宅性能表示制度の省エネ上位等級の創設|国土交通省
一次エネルギー消費量等級4が現行の省エネ基準ですが、今後の新築住宅に必須となるZEH住宅は等級6相当の住宅性能が求められる事となります。縦に並べてみてみると、等級6と等級4では数字では小さいものの、大きな違いがあることがおわかりいただけるのではないでしょうか。
BELSについて詳しく知りたい方はこちらの記事:BELSとは何かわかりやすく解説!|ZEHとBELSの関係性・メリット・評価基準と項目をご覧ください。
ZEH住宅について知りたい方は、ZEH補助金についてまとめた過去記事:ZEH補助金のわかりやすい解説|ZEH住宅はどれだけオトク?併用できる?【加算要件・自治体独自の支援】で詳しく解説しているので併せてご覧ください。
一次エネルギー消費量等級6とは
最高位である、一次エネルギー消費量等級6とは、上でもお伝えしたようにBEI基準値が0.8以下と最も厳しい基準をクリアしたことを示します。
一次エネルギー消費量等級6の家は、省エネ基準の一次エネルギー消費量から20%以上以上削減できる住宅です。単純に考えると光熱費も20%以上抑えられるということになりますね。
一次エネルギー消費量等級を上げるための対策とは
一次エネルギー消費量等級をあげるためには、一般的には以下の設備の導入対策も有効といわれています。
- 熱交換換気
- 節水型設備
- 省エネエアコン
- 高効率給湯器
- LED照明+調光やセンサー
ですが住宅性能にこだわる当社としては、こうした設備に頼るだけでなく、家そのものの性能にもこだわり、建築することこそ基本と考えています。
断熱性能を高めるための緻密な計算と施工、日射角を考慮した庇の設置、その土地の立地・条件に合わせた住まいやすい家づくり、こうした基本に立ち返り、基本的な部分を大切にしてこそ、本当の高性能住宅になるのではないでしょうか。
一次エネルギー消費量等級の調べ方
注文住宅を新築する場合には、住宅性能評価の内容を確認するか、BELS評価書を確認すると、家の等級を確認できます。
BELSの評価も、住宅性能評価も、それぞれ検査機関に委託して調査するため費用がかかります。
建売住宅を購入する場合、すでに評価済みであればそれを確認できますが、費用が掛かるため費用負担する前提となる可能性が高いでしょう。
一次エネルギー消費量の計算方法
一次エネルギー消費量等級の元となるBEI(一次エネルギー消費量)は、以下の式で算出します。
一次エネルギー消費量等級が高い家に住むメリットはあるか
一次エネルギー消費量等級が高い家に住むことのメリットは、生活コスト抑制・日常生活のクオリティ向上・優れた性能の家を補助金を使って建てられることが挙げられます。
一次エネルギー消費量等級6の家は、ZEH基準で建てられた家です。ZEH住宅は一般的な性能の家より200~300万円、建築コストが高くなります。
ですが、ZEH住宅はこちらの記事:ZEH補助金について徹底解説【ZEH住宅は本当にオトク?|加算要件・他支援事業の違い・自治体独自の支援で詳しく解説していますが、補助金が受けられ、生活コストも削減できます。
詳しく掘り下げていきましょう。
最低55万円の補助金が受けられる
一次エネルギー消費量等級6の家で考えると、ZEH基準の家を建てることとなります。その場合の補助金は最低ラインでも55万円、その他自治体からの補助金も受けることができれば100万円以上の補助金を受けることも可能です。
その他に蓄電池が欲しいなどの希望があれば、加算要件にあう追加設備であれば補助金加算もありますし、ZEH+の水準まで住宅性能を高めると基本の補助金も100万円になります。
子育て世帯・若年夫婦世帯なら80万円の補助金が受け取れる
ZEH補助金とは別に、同じく国が行っている子育てエコホームという支援事業では、一次エネルギー消費量等級6の家(ZEH基準)を建築すると80万円の補助金が受け取れます。
詳しくは過去記事:子育て世帯の新築を支援する子育てエコホーム【最大100万円】|対象条件・補助金額・新築・分譲・リフォームで解説しているので、併せてご覧ください。
条件に該当する子育て世帯・若年夫婦世帯には、ZEH補助金よりもお得な制度となっているのでメリットもより大きくなります。
フラット35の金利引き下げ制度が利用できる
ZEH住宅以上の省エネ性能に優れた家を建てる場合、フラット35Sというフラット35の金利を最大1%引き下げて利用できます。
これにより総返済額がお得になるか知りたい方は、過去記事:フラット35Sとは?本当にオトク?厳しいの?【基準・金利・返済シュミレーションなど】でシミュレーション方法や例示もしているので参考にしてください。
1年で20万円ほどの生活コスト削減
一次エネルギー消費量等級6の家で生活した場合に、削減できるコストについて見ていきましょう。
- 太陽光発電活用で電気代が大幅に安くなる
- 断熱性能が高いので無駄にエアコンを使わず生活できる
- 売電で収入になるケースもある
毎月の電気代・ガス代の一般的な相場は前述のZEH補助金の記事でも掲載していますが、1か月あたり17,000円ほど。ZEH住宅にすることで、電力消費量は平均をさらに下回るはずですが、この平均から1年間の光熱費を算出すると204,000円です。
「毎年20万円前後の節約になる」と考えると、一次エネルギー消費量等級が高い家に住むメリットは十分にあると言えるのではないでしょうか。
エアコンに頼りすぎない生活ができる
一次エネルギー消費量等級6の家は、エアコンの使用率が抑えられる為、のどや肌の乾燥も少なくなります。粘膜が乾燥すると免疫が落ち風邪などにかかりやすくなることも考えると、健康的に生活できるのも大きなメリットと言えるでしょう。
また家の中での温度差も抑えられるので、冬場のヒートショックなどの対策にもなります。安心して健康的に暮らせる家、それが一次エネルギー消費量等級6の家と言えるでしょう。
一次エネルギー消費量等級が高い家に住むデメリット
一次エネルギー消費量等級の高い家に住むデメリットは、建築費用・建築業者選定・間取りへの制限有無が挙げられます。それぞれ掘り下げてみていきましょう。
建築費用が高くなる
一次エネルギー消費量等級6の家は、ZEH基準の家となりますから一般的な住宅と比較すると、200~300万円建築費用が高くなります。
内訳としては相応の建材を使うこと、建築ノウハウ・スキルが求められるため人件費もかかること、設備追加のコストです。ただ、こうした費用がかかるものの、環境問題解決に繋がることから、国をはじめ支援事業で補助金が交付されているのが現状です。
かかる費用の全てとまではいきませんが、補助金も活用して建築費用を抑えることはできます。
建築業者選定が難しい場合もある
例えば、先にもお話ししたZEH補助金(国土交通省)を受ける場合、国の認可を受け登録されたメーカー・工務店で建築する必要があります。
希望していたメーカー・工務店では頼めないケースもあるでしょう。また、建築するノウハウ・人材などが充足しておらず、請け終って貰えない場合も想定できます。
一次エネルギー消費量等級は高いほど生活コストが抑えられる
一次エネルギー消費量等級について解説してきました。
数字だけで見ると小さい違いにも見えますが、その基準で建てられた家の住宅性能は…というとBELSの星の数にも開きがあることからもわかるように、大きな違いがあります。
長く住まう家だからこそ、健康的に暮らせる家を建てていただきたい!と思うとおすすめしたい気持ちは十分にあります。
また、家を資産として見たとき、住宅としての価値も高くなるだけでなく、ZEH基準以上が今後の当たり前になることを考えると、一次エネルギー消費量等級が高いほど、「売りたくても売れない!」ということにもならないでしょう。
昨今の暑すぎる夏、それと比較して寒い冬。こうした寒暖差があっても家の中はエアコンに頼りすぎずにも快適に過ごせる、ひいては健康的な生活が送れるということ。
皆さんが、「この家にしてよかった!」と感じられる家を建てる手助けになれれば幸いです。